貧乏の中でも、きりっと立っている姿
【なぜこの本をお勧めしたいか?】
私は、喜多嶋作品をいつもお風呂の中で読むのが好きだ。なんとも、水(お湯?)と相性がいいのだ。いつも、お風呂の中で、清々しくて、さわやかな気分になれる。
この作品は、潮風シリーズの三作目。いつも次回作を待ってる読者の期待を裏切らない。心があったかくなって、頑張るぞ~と元気をもらえる作品だ。
【本のタイトル・出版社・著者のプロフィール】
著者:喜多嶋 隆
出版社 : KADOKAWA (2023/9/22)
発売日 : 2023/9/22
【あらすじ】
この海辺の料理店には、あなたが求めているものがきっとある。
守りたい居場所が、ここにある――
海果は、この夏最大のピンチを迎えていた。台風で家が大きな被害を受けた上、近所にパスタのチェーン店ができたのだ。端物の魚介類や、地元産の形が不揃いの野菜を使って原価を抑えても安さで負ける。落ち込む海果だが、相棒・愛の機転で新しい看板メニューが誕生。やがて、2軒の店をめぐる事態は思わぬ展開に……。葉山の海辺にある料理店を舞台に、素朴で実直な海果を取り巻く人間模様を描く。潮風が吹き抜ける感動の物語。
引用元:Amazon
【見どころ】
今回は、ツボ屋の海果と愛にもう一人妹のような女の子、小織が加わる。それをとりまく人たちとの真摯に生きようとするお話だ。
印象深かったのは、三人のどの子も、貧乏の中でも、きりっと立っている姿が際立っていること。特に、小織の「わたし、貧乏だけど、恥ずかしいって思った事、一度もない……」という言葉と、「本当に恥ずかしいのは、ズルをやる大人」と言う愛の言葉には、正直ドキッとした。芯のある強い言葉だ。
また、人生の岐路に立ち、“本当の居場所”を探す若者たちにも心からエールを送りたくなった。しっかりと筋の通った生き方をしている中で模索する姿に、「そうだ!がんばれ~!」と声をかけたくなった。そして、海果自身も、愛との生活の中に自分の“本当の居場所”をちゃんと見つけている頼もしさもあって、これからの彼女たちの未来がどうなっていくのか、ますます楽しみになった。
【まとめ】
喜多嶋隆氏の小説は、とても読みやすくて、心がポッとあったかくなるストーリーばかりだ。この『潮風テーブル』も、喜多嶋ファンの期待を裏切らない秀作だ。まだ、このシリーズを読んでない人は、できれば、シリーズ1作目の『潮風キッチン』から、ゆっくりと喜多嶋ワールドに入ってほしいものだ。
次回作、第四作目『潮風マルシェ』が、9/25発売予定!これも楽しみだ!
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