横浜DeNAベイスターズ 2025年セリーグ・CS1stステージ第2戦!
「5点差くらいじゃ、引き下がらないよ!」というベイスターズ打線。
1回裏、仲間の選手と共に、ハマスタに訪れた3万人のベイスターズファンの目を覚ませたのは、佐野恵太選手だった。打った瞬間にホームランとわかる、完璧なライトスタンドへのツーランホームランだった。
セリーグ・クライマックスシリーズファーストステージ第2戦。DeNAvs巨人。
この投稿は、『仕事帰りのハマスタ』というテーマで、仕事帰りに、ビールを飲みながら、ハマスタで野球観戦をして、レポートするという内容だ。ただ、休日のため、『仕事帰りのハマスタ』ではなく、『わざわざ出向いたハマスタ』、になってしまったが……。

前日の第1戦は、筒香選手の一人舞台。4打数4安打3打点2ホームラン。頼もしい筒香選手が4番としてチームを引っ張り、先制点、中押し、ダメ押しと効果的に追加点を重ね、守りでは、先発のケイ投手の好投で試合をしっかりまとめた。故障中の宮崎選手に変わり、三塁を守る筒香選手。守備も軽快にそつなくこなしているし、8月以降、徐々に、尻上がりにスウィングの鋭さが増している様に思う。牧選手、オースティン選手、宮崎選手と主力バッターに故障者が続出して、流石の筒香選手も、“俺がやるしかない”と覚悟を決め試合に臨んでいることで、良い結果が出ているのであろう。
第2戦は、一転して、ジャクソン投手と戸郷投手。先発投手が両チームとも初回で崩れ、乱打戦かと思われたその後は、リリーフの投手陣が両チームとも踏ん張り、延長にもつれ込む展開となった。
1回表、巨人の攻撃。こんなジャンクソン投手は見たことがないというような連打をあび、打者一巡。最後は、投手の戸郷投手にまでセンター前ヒットを打たれ、途中、ショートの石上選手のエラーも出て、5失点。そのまま、ジャンクソン投手は1回が終わった時点で投手交代となった。
ジャクソン投手は、最初から、ストライク、ボールがはっきりしており、いつものスピードとパワーで圧倒している感じが見られなかった。ここまで打たれると、逆に、三浦監督も踏ん切りをつけやすい。
DeNAベイスターズの反撃を許した要因を挙げろと言われたら、私は、1回裏、2番桑原選手の三塁線の打球を、巨人の岡本選手が取れなかったところだ。結果はツーベースヒットになったが、これは、岡本選手の痛恨のエラーだ。足元に近い三塁線の強烈なゴロを、逆シングルで取ろうとして、グローブの下を抜けていった。ボールに対する、なんとしてでも取ってやろうという必死さがなかった。5点取った心の隙なのか。ここで少なくとも、ボールを止めるなりしてシングルヒットに抑えておけば、戸郷投手も波に乗れたかもしれなかったが、その後の打者の佐野選手に、初球ホームランを打たれ、いつものレギュラーシーズンでの調子の出ない戸郷投手に戻ってしまった感じがした。
戸郷投手は、次の打者の筒香選手を歩かせ、山本選手にセンター返しのヒットを打たれ、1回表にエラーした石上選手。バットの根元を見つめ、気合を入れる石上選手。絶対にエラーを取り返すという強い気持ちで集中していた。2-2からの外角のストレートが高めに来たところをレフトスタンドにスリーランホームラン。石上選手は、俊足が持ち味の軽快な野手だが、そのパワーは誰もが認めているところ。私は、密かにホームランでも打ってくれれば面白いのにと思っていた。その予感? 希望がかなえられた感じだ。

1回横浜DeNA2死一、二塁、同点の3ランを放ちベンチに迎えられる石上=横浜(花輪 久写す)
出典:カナコロ 「10月12日・CS巨人戦 DeNA、CSファイナルに進出 サヨナラで巨人に2連勝、阪神と激突へ」
それは、スタンドのファンも同じ気持ちだ。1回表に、流石のベイスターズファンも落ち込んで、思い描いていた、今日勝ってCSファイナルステージ進出を決めて、気持ちよく試合後のVictory花火を見ようと思っていたところが、巨人にガツンとやられた。ただ、佐野選手のホームランで、目が覚めた。「そうだ、これがベイスターズだ!」「5点差くらいじゃ、引き下がらないよ!」という本来の気持ちになったはずだ。
私が注目したのは、林選手の打席のネックストバッターサークルで真剣に素振りをする度会選手だ。投手の代わりにでて、軽く素振りをしているのではなく、早くも1回からジャクソン投手の代打として、押せ押せムードの時にもっと何かしてくれると期待されての準備に違いない。ただ、林選手がファーストゴロに倒れ、そのチャンスは、この時には巡ってこなかった。

その後は、両チームとも、中継ぎ投手が踏ん張り、また、野手もファインプレーも出て、投手を盛り立てる展開。1回とは違って、引き締まる投手戦になった。
ひとつ、ベイスターズの方に弾みをつけたプレーがあった。6回表の巨人攻撃の際の、丸選手の1-2塁間の強烈なゴロを牧選手が横っ飛びで好捕。そのまま膝をついたまま2塁に送球、3-6-3のダブルプレーを取ったシーンだ。牧選手は、オールスター戦明けから、故障者リストに入っていて、CSから復帰したばかりだ。チームへの貢献をしなければという責任感のある中、CS初戦で、大切な追加点となるタイムリーを放ち、打線でチームに貢献していた。今日は、守備でもチームに貢献した形だ。牧選手の動きは鋭かった。
それと、もう一つ、レギュラーシーズンとちがって、巨人が波に乗れなかった要因として、泉口選手が徹底的に抑え込まれたことだ。2試合でノーヒットのまま、CSを終えた。チャンスに強く、岡本選手の前に何かをしでかす泉口選手を抑え切ったベイスターズの投手陣の頑張りがシリーズ全体に効いている。
中継ぎ投手の交代の際の代打として、5回裏に梶原選手、7回裏に松尾選手と筆者の注目選手も大きなファンの声に押されて出てきたが、結果は残せなかった。

そして、運命の11回。巨人が、小林選手のツーベースヒットを足掛かりに、1アウト満塁から、佐々木選手が勝ち越しタイムリー内野安打を放ち、巨人が1点をリードした。ただ、DeNAの坂本投手は、1点を取られたものの、後続の若林選手を空振り三振、泉口選手をバットをへし折りながらのセカンドフライに抑えたのは大きかった。この2アウト満塁の追加点の大チャンスに、巡ってきたのがシリーズノーヒットの泉口選手だったのも、巨人のついてないところだ。
逆に、取られたら取り返すDeNAの選手の気持ちにまた火が付いたのだった。
11回裏、牧選手、山本選手と凡退し、2アウト。ここまでかと思ったところに、今日1回裏にスリーランホームランを打っている石上選手。センター方向に、たたきつける打球を放ち、一塁にヘッドスライディング。俊足を活かし、内野安打で塁に出た。次の打者が、7回裏に、19球を投げさせて粘ってファーボールをつかんだ林選手。ここで、石上選手の盗塁が成功。完璧にモーションを盗んでいた。
ここで、また、ネックストバッターサークルで真剣に素振りをしていたのが、度会選手だった。レギュラーシーズン中、蛯名選手が、1番ライトで外野手のポジションをほぼ手中にした以降は、度会選手は、代打での機会が多くなっている。ただ、試合の中盤から、ずっとベンチを観察していたが、度会選手は、姿を見せていなかった。おそらく、ベンチの裏で、いまかいまかと、素振りを繰り返していたのではないだろうか。
林選手は、そもそも常にひょうひょうとしており、緊張感が伝わってこない選手だが、この時もそうだった。いつも通りに、粘って、最後は、外寄りのカーブをレフトの前にタイムリーヒットを放った。久々の林選手の笑顔。これで、同点。
ハマスタが大きく揺れた。絶叫しているファンたち。
ここで、度会選手の代打。サヨナラヒットを打ってくれる予感。打席で、少し笑みも浮かべている。打席に立てていることがうれしいようだ。2球目を打って、ファーストゴロかと思われたところ、リチャード選手の頭を越えてライト前ヒットになった。DeNAの勢いと試合の流れが、度会選手のボールをヒットにさせた。1塁ベース上で吠える度会選手。1回の裏からずっと準備をしてきた選手の雄叫びだ。
そして、劇的な蛯名選手のサヨナラヒットで、試合は終わった。

延長11回横浜DeNA2死一、三塁。サヨナラ打を放ち牧に抱きつかれる蝦名=横浜
出典:カナコロ 「10月12日・CS巨人戦 DeNA、CSファイナルに進出 サヨナラで巨人に2連勝、阪神と激突へ」
DeNA 7 – 6 巨人。
まさに野球の醍醐味を見せてくれた素晴らしい、スゴイ試合だった。
今年観戦した中では、一番感動した、最高の試合となった。
何点取られても、諦めない。ツーアウトになっても、そこからだ。
ミスがあっても、取り返してやろうとする強い気持ち。
出番を待って、チームに貢献するためにひたすら準備する選手。
野球も人生と同じ。
あきらめない強い気持ちを持って、ひたすら努力し続けること。
ちなみに、3塁側内野席で観戦していた筆者は、巨人・吉川選手のファールボールをゲットした。きれいなミズノのボールに『Jera』のマーク。少し重みを感じる硬球のボールを見ながら、これを160㎞で投げて、130m飛ばすとはと、かの選手を思った。
